「家庭内のもめごと」は、どう解決したらよいでしょうか。
「家庭内のもめごと」は、家庭裁判所に調停を申し立てることができます。
たとえば、離婚、夫婦関係の調整、親子や兄弟姉妹間の扶養をめぐる紛争、遺産分割などをめぐる紛争は、原則としてすべて家裁に調停を申し立てることができますし、調停によって解決が図られています。
調停を申し立てるかどうか、調停がよりよい方法かなど、弁護士に相談して下さい。
離婚するにはどのような手続きが必要ですか。
夫婦が協議して離婚に合意できる場合は、離婚の届け出を市役所にすれば離婚が成立します(協議離婚)。夫婦の協議が整わない場合は、家庭裁判所に調停を申し立て、話し合いの結果、離婚する旨の調停が成立すれば離婚が成立します(調停離婚)。調停で離婚ができない場合は、家庭裁判所に離婚訴訟を提起し、離婚の原因が認められれば、判決が確定することにより離婚が成立します(裁判離婚)。離婚訴訟では和解により離婚が成立することもあります。調停や訴訟で離婚が成立する場合も、市役所に報告的届出が必要です。
離婚する場合、どのようなことを決めておけばよいでしょうか。
未成年者の子がいる場合は、離婚の際に子の親権者を父母いずれか一方に決めなければなりません。また、必要に応じて、子の養育費、子との面会交流、夫婦間の財産分与、年金分割、慰謝料を決めておく場合もあります。 | |
離婚した場合、自分の氏はどうなりますか。
婚姻によって氏を改めた夫又は妻は、離婚により婚姻前の氏に戻りますが、離婚の日から3ヶ月以内に市役所に届出をすることにより離婚の際に称していた氏を称することができます。
離婚した場合、子の氏はどうなりますか。
親が離婚し、親の一方の氏がかわっても、氏の変更の手続をしないかぎり、子どもの氏はかわりません。離婚によって、両親の一方の氏がかわった場合、15歳以上の子は、家庭裁判所の許可を得て、届け出をすれば、親の氏に変更することができます。子どもが15歳未満の場合には、その子の法定代理人(親権者)がかわって氏の変更手続をすることができます。
夫が生活費をくれないのですが、どうしたらよいですか。
夫と妻で協議しても、夫が生活費をくれないままのときは、家庭裁判所に対して、婚姻費用分担を求める調停の申立てや審判の申立ができます。
家庭裁判所は、当事者双方から事情を聞き、双方の資産、収入、その他の事情を考慮のうえ、説得しあるいは勧告して金額を定めます。
話し合いがつかない場合は、裁判所が審判で決めます。
遺言書を作成したいのですが、どうしたらよいですか。
通常、遺言の方式には、自筆証書遺言、公正証書遺言と秘密証書遺言があります。自筆証書遺言は、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、押印します。自分で簡単に作成できますが、パソコンで作成したものでは不十分ですので注意してください。公正証書遺言は公証人に作成してもらうもので、偽造が問題になりにくい点で信頼性が高いといえます。秘密証書遺言は、遺言の内容を秘密にしたい場合に、遺言者が署名押印した証書を封印したうえで公証人がこれを認証します。自筆証書遺言と秘密証書遺言は、相続開始後に家庭裁判所の検認を受ける必要があります。
複数の遺言書が作成された場合、内容が互いに抵触するときは、後に作成された遺言が有効となります。
遺産分割協議をしたいが、どうしたらよいですか。
遺産分割の協議のためには、相続人全員が集まって話し合い、合意を得る必要があります。協議がととのわない場合には、家庭裁判所で調停をし、そこでも話ができないときには、審判になります。
その場合、寄与分の申立、あるいは特別受益の主張などがなされることがありますが、家庭裁判所が判断することになります。
親が多額の借金を残して死亡した場合、借金を相続しないためにはどうしたらよいですか。
相続を放棄する旨を家庭裁判所に申述すれば、初めから相続人とならなかったものとみなされますので、借金を引き継ぐことはありません。相続放棄のやり方は、相続放棄の申述書と放棄する人の戸籍謄本、被相続人の戸籍謄本などを被相続人の住所地を管轄する家庭裁判所に提出します。家庭裁判所は、放棄が真意にもとづくものであることを確認し、受理します。申述人は、家庭裁判所から相続放棄の申述受理の証明書の交付を受けることができます。
認知症の祖母の財産を管理するにはどうしたらよいでしょうか。
認知症や知的障害などにより判断能力が不十分な人を保護し支援するため、その財産管理や身上監護を行う者を裁判所が選任する成年後見制度があります。
精神上の障害により判断能力を欠く場合、著しく不十分な場合、ないし不十分な場合に、それぞれの程度に応じて、家庭裁判所に、後見開始、保佐開始、ないし補助開始の申立てを行うことができます。申立てをすることができるのは、本人、配偶者、四親等内の親族などです。
後見開始(保佐開始、補助開始)の審判により、親族や弁護士などから、後見人(保佐人、補助人)が選任されます。
後見人は、原則として被後見人の法律行為を取り消すことができ、被後見人の財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為について被後見人を代理します。
保佐人は、被保佐人が一定の行為をするについて同意権を有し、保佐人の同意なくしてなされた被保佐人の行為は取り消すことができます。また、家庭裁判所が特に定めた場合は、特定の法律行為について被保佐人を代理します。
補助人は、家庭裁判所が特に定めた場合には、被補助人が特定の行為をするについて同意権を有し、補助人の同意なくしてなされた被補助人の行為は取り消すことができます。
成年後見人、保佐人、補助人は、それぞれ、成年被後見人、被保佐人、被補助人の意思を尊重し、かつ、その心身の状態及び生活の状況に配慮しなければならないとされています。
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